猟期前の下見
空気銃猟と散弾銃猟の緊張感、今期の目標

昨年までは空気銃によるカモ猟がメインだったので、狩猟期間中も山とはほとんど無縁だった。渓流釣りを始めたことで山に入る機会ができて、釣りをしながら獣の足跡や痕跡をたくさん見た。姿を見ることもできた。滑落したらしい死んだ子鹿まで見た。残念ながら渓流釣りに通っている川と猟場は全く関係のない場所なのだけど、多少はなにかの役にたつかもしれない。そんな都合のいいことを考えながら、近づいてきた猟期に備えて久しぶりに猟場へ足を運んだ。

ほぼ8ヶ月ぶりに見た猟場はどこもかしこも緑に覆われていて、記憶の中とは違う場所になっていた。草の生い茂り方からほとんど全く人の手が入っていないことがわかる。おまけに川も池も水の量がかなり多い。昨年の猟期後半に発見したある池は、岸辺に木がオーバハングしていて、たくさんのカルガモ、そしてマガモが休憩していている、とても理想的な池だった。その池も水量が増えたせいで岸がなくなり、カモが隠れて休みやすい場所がなくなっていた。それとは逆に、ほとんど水たまりだったような池(それでもカモはいたけれど)は立派な池になり、カモが隠れられる木陰ができていた。

猟場を下見して発見したカモ
わかりにくいけれど、オシドリが数羽(オスは1羽だけ)。元々大きな池だったけれど、水量が増えてさらに大きく感じられる。対岸までは80〜100m。

何度もキジを見た(ほとんど逃げた姿しか見ていないけれど)低い山に隣接している畑地帯は、使われなくなった畑が増えていた。何年も前に植えられたであろう木にいろんな草がまとわりつき、鬱蒼としている畑(もはや畑とは呼べないけれど)まである。そんな場所にはわかりやすい獣道ができている。狩猟を始めた年にくくり罠で捕らえられた鹿を見た場所だけあって、ますます獣の気配が濃くなっているようだ。ここに持ってくるのにふさわしい銃はエースハンターではなくMSS-20なのかもしれない。

猟場を下見して発見したカモ
オシドリのオスが数羽のメスを引き連れて木陰に隠れた後も1羽だけ漂っていた。オシドリの雌だと思って居たけれど、違う種類なのかもしれない。

最後に昨年から鹿を狙えるのではないかと目星をつけていた山に入る。道路は舗装されているけれど、ほとんど車が入っていないことが明らかな道を登っていくのは、正直めちゃくちゃ怖い。

一口で狩猟といっても、空気銃のカモ撃ちと大物猟では緊張感の種類が違う。空気銃で狙う獲物に対しては恐怖心は持たないし、人里近いので「ここはどこだ?」となるような状況にもいない。その代わりに人の目を注意しないといけないし、それが結構なストレスにもなる。

一人で山に入るのはそうしたストレスはない。心の底から、身体全部で狩猟という行為を楽しめる。でも、何かがあっても(しばらくは)誰にも気づかれないと認識すると、やはり怖い。道に迷うかもしれないし、足を滑らせるかもしれない。狙う獲物は自分と同等かそれ以上の大きさ。こちらの身の安全もきっちりと確保しないといけない。

僕は観光的な登山すらほとんど未経験なので、心の底から無理しないでおこうと改めて思った。……無理するもなにも、まだ散弾銃で狩猟をしたことはないのだけれど。

猟場の下見
開けた明るい場所にくると少しだけホッとする。

下見中に目撃したのはオシドリのオスとメス数羽。判別できなかったカモらしき鳥が一羽。どちらも獲ってはいけないし、撃ってはいけない。でも、自分が「なにかいるんじゃないか」と想像した場所に動物がいるのは喜ばしい。
そして、鬱蒼とした雰囲気にビクつきながら入った山で、ちゃんと鹿を発見したのは嬉しかった。ほぼ同時に鹿もこちら気がつき、すぐに逃げられてしまったけれど、怪しいと思った場所に気がつき、そこに鹿がいたというのは想像していたよりも気分が高揚した。次はじっくりと観察できるよう、鹿に気づかれないように行動したい。そして自信を持ってMSS-20を構えられる距離まで近づきたい。運が良ければ撃つことができるかもしれないし、仕留めることができるかもしれない。

でも、まずは鹿を見つけて、近くづくことが目標だ。人生のほとんどをインドアで生きてきたのに、今年は鉄砲を持って山に入れるんだから、これぐらいゆっくりとしたペースで安全に楽しめればいいんじゃないかと思っている。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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