SAME OLD SONG BOOK
音楽を楽しんでいる人達が作った音楽

くいだおれ太郎楽団以来2年ぶり、Sweet Hollywaiians名義としては3年ぶりのアルバムです。とはいえ、今回のアルバムはHollywaiiansはあくまでサポートと言った感じの「and his (her) Sweet Hollywaiians」シリーズ。過去には「Tom Marion and his Sweet Hollywaiians」「Yumi Ishikawa and her Sweet Hollywaiians」があります。このシリーズではSweet Hollywaiiansのアクの強さがいい感じに押さえられて、メインの音楽家の良さが引き出されており、今回も「Mr.Fukushima」ことバンバンバザールの福島康之さんの魅力をHollywaiiansが見事に引き立てております。

Sweet Hollywaiiansらしいものから、らしくないもの、そしてバンバンバザールのオリジナル曲を含め、全12曲。特徴的なのは日本語歌詞の曲が含まれている事ですね。ライブではゲストやマリオさんが稀に歌うことありますが、音源化は初めて……だと思いましたが、大昔に発売されていたミニアルバムで「Sweet Sue」が日本語で歌われてました。

「SAME OLD SONG BOOKS」ジャケット

1. My Melancholy Baby(涙をふいて)

戦前のコメディアン、岸井明さんによる日本語訳。色川武大も絶賛の言葉のセンスは流石です。シンプルな言葉だけで優しい素直な愛情が歌われています。

2. Yellow Bird

全然知らない曲でしたが、ハイチのクレオールによる伝承歌だそうです。日本語訳は今野英明さん。優しいメロディですが、なかなか切ない状況に置かれている男の泣き言ソングです。

3. You Might Think

原曲を知りませんでしたが、驚きました。音がいかにも80年代。なんかこっぱずかしいです。でも、流石Hollywaiians。見事に古き良き時代の音楽に再構築しております。「Time After Time」といい、Hollywaiiansと80年代は相性がいいのかもしれませんね。

関係ありませんが、Weezerもカバーしてるんですね。なんか嬉しい。

4. How Am I To Know

福島さんによる日本語歌詞もいいですが、スティールギターの気怠い雰囲気が曲にぴったりです。

5. Please Don’t Talk About Me When I’m Gone

大好きな曲です。ひたすら楽しい。この曲はHollywaiiansにぴったりだと思います。福島さんの日本語訳も絶妙。好きな女の子と別れるはめになってしまった男のやせ我慢っぷりがよくわかります。

6. Mexican Divorce

バート・バカラックとHollywaiians。合うような合わないような組み合わせ。メキシコには何の思い入れも無いのですが、スティールギターの音色で郷愁にかられます。

7. Sweet Honey Bee

福島さんのオリジナル曲。シンプルなメロディと歌詞に、Hollwyaiiansの見事な演奏とアレンジが乗っかり、とても素晴らしい曲になっています。福島さんの物語をウクレレとギターがより切なく表現しています。「泣くなよ」って言われても、泣けちゃうんじゃないですかね、こういうシュチュエーションは。僕は泣いてしまうと思います。

8. I Feel Like Going Home

最近電車に乗る機会が増えたのですが、夜更けに人の少ない車両でこの曲を聴いていると、ぐっとくるものがあります。「やれるだけやってみた」という素直な気持ちと、まだやるべきこともある、という決意のようなものが喚起されます。Hollywaiiansが演奏する曲でこんな具体的なイメージが喚起されるって珍しいなと思いました。

9. In the Shade Of the Old Apple Tree(林檎の木の下で)

これもHollywaiiansにぴったりな、牧歌的で害のない平和な楽しい曲です。 Jug Band Festivalの動画が公開されています。
Mr. Fukushima and his Sweet Hollywaiians 20120407

上記ページで動画が表示されない場合は動画のURLに直接アクセスすれば見られると思います。

10. Home (When shadows fall)

Tom Marionとのアルバムにも収録されており、Sweet Hollywaiiansファンには嬉しい曲。ポール・マッカートニーも大好きな曲なんだとか。これも帰宅時の電車で聴いていると、ぐっとくるものがあります。「I Feel Like Going Home」とは違い、ただただ優しい気持ちになる曲です。

11. Sometimes I’m Happy

能天気ですごく楽しい曲です。歌が入るまでのギターがやけにかっこいいです。そして男ばかりのコーラスもなんか楽しい気持ちになります。ややっこしい言葉ではなく、アホみたいに恋に浮かれてる歌詞もいいです。そして終わり方もかわいい。つまり、最初から最後まで素晴らしい曲です。

12. I’m Following You(ねえ君次第)

「ねえ君次第」という邦題と、日本語訳詞が素晴らしい。結婚式なんかで聴かされたら泣いちゃうんじゃないでしょうか。

しかしまあほんとにここまで多様な曲を、よく一つのアルバムにまとめたものですね。時代も歌い手もばらばらなのに違和感がありません。福島さんの渋い声と日本語歌詞のおかげで、Sweet Hollywaiiansのアルバムの中では一番取っ付きやすいのではないでしょうか。大変おすすめです。

SAME OLD SONG BOOK

こねくりまわされていない、素朴で素敵な歌詞とかっこいい音楽を楽しめます。

参考サイト

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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