ドルーピーDVD BOX
毒っ気を抜かれた作品集

以前から「テックス・アヴェリー*1のDVDを出してください」と懇願していたのですが、知らぬ間に出てたみたいです。しかも2枚組で980円という破格の安さ。安さの秘密は版権切れにあるみたいですね。おかげでたくさん収録してもこの低価格が実現できたのでしょう。でも、僕がほんとにもう一度見たいと思っていた作品のいくつかは、残念ながら収録されていませんでした。未収録の作品は版権が残っている、というわけではないと思います。ドルーピーをメインにすることで子ども向けの作品を集めたんでしょう。ということで、当然のように「とんだ野球試合」は収録されていませんでした。が、なんとYouTubeにアップロードされていました。字幕はありませんが、一回見ているので楽しめました。

『テックス・エイヴリー 笑いのテロリスト』パンフレットとチラシ、『ドルーピーDVDBOX』
劇場公開時は「テックス・エイヴリー」でしたが、最近変わったんでしょうか。

子ども向け、とはいえ、そこはテックス・アヴェリー作品。大人でも、というか、むしろ大人が楽しめる作品も多いです。今では差別的と言われている表現が多々ありますが、まあそこは時代だったということで……。

昔は今よりも差別に対して緩かったでしょうし、表現する側の配慮も足りなかったと思います。徐々にそういう事が問題とされ、差別はダメだという考えが広がっていると思いますが、同時に受取手の余裕というか、許容力も低下しているのかなと思う事もあります。そりゃもちろんなんでもかんでも笑ってすますわけにはいかないですが、理解した上で茶化されていたら、当事者でも笑えるようになりはしないかなと思ったり。
いわゆるステレオタイプ的な存在を笑えることって、自分が属する社会を客観視する上でわりと大事だと思うんですよね。もちろん個人を狙い撃ちしたものはまた別のお話ですが。

テックス・アヴェリー - 笑いのテロリストパンフレット

なんか小難しい事を書いていますが、基本的に「アホや(笑)」と笑える作品ばかりですので、気楽に楽しめます。今となっては使い古された表現や題材もありますが、そこはオリジナルの強みなのか、にこにこして観ていられます。意外と心温まるラストもありますし、ちょっと考えさせられるラストもあります。子どもが観て楽しめるのか、大人の僕にはよくわかりませんが、意味が分からなくても記憶に残る作品ではないかなと推察します。

テックス・アヴェリー - 笑いのテロリストパンフレット

ということで、『ドルーピーDVD BOX』は大人も子どもも、子どもが大きくなってからも楽しめると思います。現在日本で入手できる唯一のテックス・アヴェリー作品集ということもありますので、この値段の内に買っておいて損は無いと思います。

ドルーピーDVD BOX(DVD付)

DVD付きのDVD BOXってなんや?と思いましたが、扱いとしては本らしいです。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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