COURRiER Japon(クーリエ ジャポン)2006年2/16号
村上春樹 初めて明かされるハーバードの一日

創刊号に続いてクーリエ・ジャポンが村上春樹の記事を掲載してくれてますね。春樹さんはあまり日本のメディアに出ないので、こうした特集はクーリエ・ジャポンの強みになりそうです。タイトルどおり、あまり日本では知る機会の少ない講演会の様子と、変わらない素朴な言葉が紹介されています。

まず目を引いたのは、スーツ姿の春樹さん。かなり珍しいのではないでしょうか。エッセイなどに今まで掲載された写真の多くは、ジーンズなどのラフというか楽な格好。時には短パン姿で登場している春樹さんが、スーツ。意外といっては失礼ですが、お似合いです。渋いおっさんです。まあそんなことはともかく、とてもいい表情でお話されているご様子。日本でもこうした機会があればなにがなんでも駆けつけるのですが、残念ながらその機会はなさそうです。日本での生活は、海外の生活で得られる落ち着きのようなものが得られにくそうですから。まあしょうがないですね。お話を直接伺いたいと強く願いますが、僕はやはり春樹さんの物語、文章と対話したいです。

前半は講演会での質問や雰囲気を伝えながら、丁寧に春樹さんの言葉が挿入されます。その言葉の多くは、春樹さんがエッセイやホームページで語ってきた言葉です。表現は変わっているかもしれませんが、その言葉の中身、芯の部分は変わってないですね。春樹さんの物語と同様、慎重に言葉が選ばれ、可能な限り正確に言葉を、物語を伝えたいと願っている姿勢が伝わってきます。

後半語られる日本との関わりは、なんだかぐっときますね。重いです。何か特別なことを伝えようとしているわけではありません。これだって昔から春樹さんが僕たち読者に伝えてきたことだと思います。ずっと前から。僕が重いと感じたのは、こうした一貫した姿勢なのかもしれません。真剣さというか、誠実さというか。読者や自分の作品、そして自分自身への誠実な姿勢。まずそれがあって、春樹さんの物語が生まれてきているんだなと。

『COURRiER Japon(クーリエ ジャポン)』2006年2/16号

ブログはおもしろいです。考えたことや思ったことを気ままに書く。それを誰かが読んでくれたり、時にはコメントをくれたりする。はっきりいって、相当猛烈に楽しい。ちょっと前までは考えられなかったことです。でも、僕が今こうしているように、考えていることや思いをそれほど練ることなく、表に出していることに気付かされました。それが良い悪いということではありません。寝かしておいたからといって、読みやすくておもしろくてわかりやすい文章が書けるわけではありませんから。時事ネタなんかだと鮮度が重要です。条件反射のように記事を書くこともまたおもしろいです。僕はこれからも、気分が良くて何が悪い? と嘯きながら更新していくでしょう。でも、自分の奥深くを真剣に探索する姿勢が最近欠けていたと思います。そこになにがあるかわからないし、かなり恐ろしいことですが、なんにもないかもしれません。でも、探す努力は怠ってはいけないなと。別に何かを得るためにブログをしているわけではありませんが、結果として何か身に付いたらうれしい。それぐらいのスタンスで、僕はブログを更新しています。でもせっかくかなりの時間を割いて自分の感情を探っているのだから、あまり表層にこだわりすぎるのではなく、自分が見つけにくい感情や考えを見つけられることを第一にするべきなんだなと。そんなもん世間に公表すんな、と思わないでもないですが、自分を客観視するには最適なんですよね、ブログ。もちろん僕にとっては、ということですが。

自分の思考を探り出して、机の上に丁寧に置く。そして、距離を保ちいろんな角度からじっくり眺める。こういうことって、自分だけではなかなかできません。

たった2ページの記事でこんな気分にさせられて、記事がすごいのか僕が浅いのか微妙なところですが、とにかく春樹さんはすごい。壮大な物語を待ちわびる日々はしばらく続きそうです。

COURRiER Japon 2006年2/16号

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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