五秒の再会
伝えたかった一言

気がついたら音楽は人生に欠かせないものになっていた。落ち込んでいるときは音楽に救われたような気分になったり、励まされたり。好きな曲を時間を置いて聴き直せば、当時のことをありありと思い出せるし、当時はわからなかったことがわかったり。

でも最近は、音楽を聴く時間をほとんど作れていない。昔は「音楽を聴く」時間をもっと大切にしていた。

『五秒の再会』ジャケット

僕はMacの前にいる時、大抵音楽を流しながらご機嫌な気分で作業している。洗い物するときや洗濯物を畳む時も同様で、改めて考えてみると音楽を聴いている時間は昔とそう変わらないのかもしれない。でも、結局なにかをしながらで、音楽を聴くためだけの時間を作れていない。昔は歌詞カードを眺めながら聴くことも多かったけれど、最近はそんなことはほとんどしていない。ひたすら「ながら聴き」の日々。

先日もそんな風になにかをしながら、大好きな斉藤和義のアルバムの中ではあまり聴き込んでいない、『NOWHERE LAND』を聴いていた。

しばらくして流れてきた『五秒の再会』は、僕になにかを思い出させた。作業への集中が途切れたので気分転換に歌詞カードを眺めると、そこには最も長い5秒間の物語が書かれていた。そのまま歌詞を眺めながら2人の歌声を聴いていると、物語の中の2人が感じていることがありありと伝わり、自分がなにを思い出したのかわからせてくれた。たぶんこの歌は、聴く人自身を温めてくれる優しい記憶を思い出させてくれるのだ。

特別しんどい状況ではなくても、生きている時間が長くなればなにかと疲れることはある。そんな時に助けになるものはいくつかあるが、自分の記憶、思い出というのは、他のものには変えられない効能が含まれている。良い音楽はそうした記憶を思い出したり、新たな思い出を作る手助けになる。

『五秒の再会』は自分が相手に差し出した優しい気持ちと、相手が僕に差し出してくれた優しい気持ち、そして伝えられなかった思いを、僕に思い出させてくれた。

五秒の再会

実際にこんなことを経験していなくても、想像して優しい気持ちになれる歌です。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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