VX-6をモービル機として運用
無線技術っぽいことへの好奇心

猟期が終わる頃、VX-6の開局手続きが完了した。完全に遅きに失したけれど、これで来期からは完全に自力で大物猟に参加できる。お世話になったお礼かたがた先輩猟師に報告すると、「古いモービル機があるよ」と声を掛けてもらった。
僕は生粋の貧乏性なので、使えるものは使い続けたい。貰えるものは病気以外なら何でももらうかんなーコラァ!とまでは言わないけれど、使えるものなら貰ってから使い道を考えたりする。誰かにとって不要なものを、自分にとって使えるものにするのが好きなのだ。うまくいけば新品を手にした喜びとは違う喜びを得られる。
まあ、実際に便利に使うことは稀だけど。

ということでありがたく頂戴したのはKENWOODのTM-G707。早速増設申請して、モービル機運用のあれやこれやを調べる。必要最低限のものも一緒に頂いたけれど、できるだけ快適に運用したいのでケーブルや基台は追加購入することにした。

悩んだのが無線機の設置場所と基台の取付場所。そしてそれに伴う配線。基本的な知識が無いのでなかなか踏ん切りがつかない。逡巡して逡巡して、ようやく「これでいこう」と思ったプランができた頃、総務省より「その無線機えらい古いなぁ。今のルールでも使えるという保証してもろて」という内容の連絡があった。どうやら本当に本当に古いモービル機だったようだ(1998年モデル)。
保証を受けるには費用がかかる。検査に時間もかかる。面倒くさいことをしてまでモービル機を使いたいとも思わないので、さっさと申請を取り下げた。

が、持って行き場のないもやもやが残ってしまった。脳内で散々試行錯誤したモービル運用のあれやこれや——アンテナ基台をあそこに取り付けて、ケーブルはここを通して、スピーカーマイクをここに掛けてという想像——が、実際に快適なのかを確認したい。

とはいえ、巻狩に必須なのはハンディ機だけで、モービル機はあれば便利程度のものだ。そこにお金をかけるのは生粋の貧乏性として釈然としない。でも、僕は生粋のいっちょかみでもあるので、こういう場合は大抵好奇心が勝ってしまう。
折衷案として、すでに持っているVX-6をモービル的に運用することにした。これで便利なら、そして不満が山積みなら、モービル機の購入を検討してもいい。

早速7mの同軸ケーブル1mの変換ケーブル、そしてルーフサイド基台を購入。いつもなら極力安いもので揃えるところだけど、知らない世界のことなので信頼の置けるという評判のブランドで揃えた結果、そこそこまとまった出費になってしまった。

アンテナケーブルの引き込み失敗例
下に向けてから上に向けりゃあいいんだろうと適当にやったら見事に水が侵入。取付位置も雨水の通り道なのでダメ。

基台は右後方のルーフサイド……かなにかよくわからない、出っ張りに装着。ケーブルは雨侵入対策のため右下方からねずみ返し式にターンさせて車内に引き込み、内張に入れてから右前方のAピラーを通してペダル裏に回して助手席前のグローブボックスから引き出した。
未使用時はグローブボックスに収納。使用時は軸径の細い変換ケーブルだけを引き出して使う。

アンテナケーブルの引き込み成功例
失敗を踏まえてやり直したアンテナケーブルの引き込み。完全に下に向けてから大胆にターン。雨水のシャットアウトに成功。でもやっぱり見た目は気に入らない。

配線もバッチリ決まってめちゃくちゃ気持ちいい。受信状態も良好で自宅内では拾えなかった電波も拾ってくれた。発信はしてないけれど、めちゃくちゃ遠くに電波を飛ばす必要はないので、特に問題ないはず。

アマチュア無線家として「無線技術への興味」が芽生えてきたかと思ったけれど、実体は「無線機器を車に取り付けることへの興味」だったようだ。とりあえず自分で考えたことの検証ができてスッキリした……が、やっぱりどうもモヤモヤする。車に乗り降りするたびにVX-6のアンテナを付け替えるなんて、実際の手間以上にめんどくさい気持ちが勝つのは明白だ。
旧スプリアスの変更保証について改めて調べてみると、保証対象製品なら本体をどこかで調べてもらったりする必要はないらしい。TM-G707は対象製品なので、発作的に変更保証に申し込んでしまった。
ということで、今はTM-G707の電源をどこから取るか、どこに設置するか、あーだこーだと悩むことを楽しんでいる。

車で使う時のVX-6
頭の中に描いた通りに配線、設置を再現できて完璧に大満足。でもやっぱりアンテナの付け替えはめんどくさい。外してつけるだけなので30秒もかからないはずだけど、車に乗ったら可能な限りササッと行動したいのでイラチとしては我慢ならない。

M-SMA変換ケーブル 1.5DS-EXL(1D1SR)

使用時はこのケーブルのみをグローブボックスから引き出すので細めを購入。これでもしっかり挟んでいる感じはあるので、もう一段階細いものでも良かったかもしれない。

購入時の価格 ¥1,833

車載用同軸ケーブル7m MLJ-MP型(RG7MR)

送受信性能的には短い方が良いはずだけど、シビアな交信をする気はないので(今の所)本体設置場所の自由度的には7mで良かったと思う。

購入時の価格 ¥3,080

ルーフサイド基台 RS1

アンテナを傾けられるものもあったけれど、実際にそんな動かすことはないと考えて購入。期待通りしっかり固定できているし、見た目も地味で満足しているけれど、やっぱり角度調整機能が欲しくなり使ってもいないし困ってもいないのに買い換えようか悩んでいる。

購入時の価格 ¥2,200

参考サイト

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

  • Instagram
  • YouTube
  • ANGLERS