MSS-20のスキート練習は巻狩りの役に立ったか?
射撃練習の目的

今期(5期目)の猟期に向けて、ちょっぴり気合を入れてスキートの練習をした。気合を入れた理由はMSS-20で初めての技能講習を控えていたから。そして、動的射撃の代わりになりそうな気がしたから。

前期は巻狩りに参加して何度か鹿と遭遇できたけれど、全力で駆けていく鹿を仕留めることはできなかった。狙いを定めるだけで四苦八苦して、発砲できたのは遭遇した回数の半分に満たない。獲物が現れたのに技量不足で発砲できないなんてもったいないし、申し訳ない。

ということで、猟期が終わってから動的射撃の練習を始めようとしたけれど、ふらっと射撃場に行って練習できるわけではないし(事前予約が必要)、金銭的な負担に怯んだ。

そこでスキートだ。獲物(クレー)との位置関係が複数あるし、遠すぎない距離も待ち場で獲物を狙う状況に似ている。もし大物猟に役立たなくても鳥猟の練習にはなるはずだし、なんといっても技能講習に合格しなくてはならない。

今期の大物猟の猟果

今期鹿が待ち場に現れたのは10回程度で、頭数は15頭前後。発砲したのはその内の6頭。仕留めたのは4頭。この結果にはわりと満足している。撃たなかった鹿は遠すぎたり見通しが悪かったためで、前期と違って撃てなかった訳ではない。仕留め損なった2頭は中らなかった理由が(自分の中では)はっきりしているので、(もう)気にしていない。

前期と違って犬に追われて走っている鹿を仕留めることができたのは、スキート練習の成果だと強く思う。(嬉しかったので長文にまとめてしまった → 巻狩で出会った6頭の鹿 — 中った理由、外した理由

スコープの設定

僕のスコープはライト光機の1-6×24。毎回ちゃんと同じように据銃できていれば、1倍でも6倍でも好きな倍率を使えばいいんだけど、高倍率にすると動いているものを追うことが難しくなる。経験上、巻き狩りで遭遇する獲物との距離はそんなに遠くなくて、10m〜30mが多い。これぐらいの距離だと1倍でもしっかり狙えるし、周囲の状況も確認しやすいので安全、安心。

ということで、巻狩では基本的に1倍にしている。だから当然、スキートも1倍。イルミネーションドットがあるなら使った方がいいと思う。自分が今どこに銃口を向けているのかはっきりわかるし、撃ったタイミングが記憶に残りやすい。

1倍に設定したライト光機のスコープとMSS-20
1倍のスコープは物を大きく見せてはくれないけれど、どこを見てるかがはっきりわかる。ちなみにこういう写真を撮るのはなかなか大変。

無料でできる射撃練習

前期は据銃した時に顔か銃、またはその両方を動かして目とスコープの位置を調整しないとちゃんとスコープを覗けなかった。獲物を撃てる時間はとても短いのにそんなことをしていたら、狙って撃つ時間が無くて当たり前。据銃練習をしていなかったことが原因なので、まずは自宅でしっかりと据銃練習を繰り返した。

最初の頃はスコープを覗きにいっていた。これだと視線が動いてしまう。身体は動かさず、スコープを効き目の前に持ってこないといけない。「獲物を見ていたらいつのまにか目の前にスコープがあった」という感じが理想。時にゆーっくり、時に素早く、スコープを目の前に持ってくるだけの単調な動作を繰り返す。

こんな地味な練習はすぐ飽きると思っていたけれど、これが中々おもしろい。スコープを目の前に持ってこれるようになっても、適切なアイレリーフにならずケラレがでたり。だからこそちゃんと据銃できた時は気持ちいい。

このように、据銃練習は自宅でみっちりできる。射撃場ですべきことは、自宅で練習したことをちゃんと再現して、今の自分ができていないことを確認すること。そして、クレー射撃を楽しむことだと思う。

スキートの動作と巻狩の待ちでの動作を繋げる

僕はコールしたらすぐにクレーが射出されるジャパンルールしかやったことがない。ランダムなタイミングでクレーが射出される正式なルールの方が難しいんだろうし、その方がより狩猟に役立ちそうな気がするけれど、そもそも(まだ)シングルオンリーなのでそこまで違いは無いと思うことにしている。

巻狩では獲物が現れる前に犬の鳴き声や鈴の音が聞こえてくるので、撃つ体勢を整える時間は十分ある。でも、視認してから撃つまでの時間はあまりない。この状況はスキートのジャパンルールにかなり雰囲気が近い。

射台に入り姿勢を整え(=獲物が現れそう)、声を出してクレーが射出され(=獲物が現れた)、クレー(=獲物)を視認したら据銃してスコープの中心でクレーを捉えて(追い越してから)、引き金を引く。クレーが割れる(=獲物に中る)。

こんな流れをイメージして練習し、ほとんどそのまま猟場で再現できたので、スキートは動的射撃の練習になっていると思う。ただ、猟期前に動的射撃を練習して、スラッグで50m先の動く標的を狙う場合のリードを体験しておいた方がいい。獲物との距離が近ければ近いほど中てる難易度が下がることが、心で理解できるはずだ。

MSS-20でスキート
しっかり据銃練習をしてから射撃場で実践。実包を装填して引き金を引く練習は射撃場でしかできない。

記録動画

最後の4頭目を仕留めるまでの一連の流れの撮影に成功。

思い描いていた流れで捕獲できた理由は、10m程度と距離が近かったからにつきる。スラッグを50mでゼロインしているなら、10mの場合はほぼ狙ったところに中るからだ*1

想定していたルートを通って来た2頭の鹿に対して、迷わず最初の鹿に狙いを定められたし、スキート練習のおかげで据銃もスムーズ。構えたらスコープのイルミネーションドットは鹿の頭に合っていた。だから、落ち着いて「このルートを走ってきたら、ここで撃つ」と決めていた場所で引き金を引けた。

連射の練習のためにスキートのダブルの挑戦して心が折れた時の記録動画。

射撃練習の役割

今期は射撃練習の成果を出せたことがとても嬉しかったし、射撃練習をして良かったと心の底から思えた。ちゃんと結果を出せたことで、練習を継続するモチベーションも保てている。あまり興味がなかったクレー射撃をちゃんと楽しめていることも嬉しい。

でも、結果を出せなくても、クレー射撃が楽しくなくても、射撃練習は絶対に必要だ。銃を所持して実際に撃てるのは、というか実弾を装填できるのは、射撃場か猟場だけだ。そして射撃場には沢山の他人の目がある。銃の取り扱いが他人に不安を感じさせていないか確認することは、とても大事なことだと思う。

「クレーは割れんけど獲物には中るんや」と嘯く猟師もいる。そういうこともあるだろうし、それはそれで楽しいかもしれないけれど、「中てた」と確信できた時の達成感は「中った」時には得られない。めんどくさい手続きを経て銃を所持しているんだから、よりおもしろく、そして、より安全に、射撃も狩猟も楽しんだ方が得だと僕は思う。自分の銃を使いこなしているという満足感(あるいは勘違い)は気分が良いし、手にしたお肉の旨味になってくれる気がする。

リコイルパッド

MSS-20のリコイルパッドはゴム製のため据銃時にひっかかることがあるので、据銃ありでスキートを楽しむなら革や布のリコイルパッドがあった方がいい。革の巾着袋的なもので代用していたらなかなか具合が良かったので、eBayで良さげなものを購入した。個体差と組み合わせでハマらない場合があるかもしれないくらい、MSS-20にシンデレラフィット。Amazonならこれこれが良さげ。

購入時の価格 ¥2,570

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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