ライフルスリングのずり落ち対策
なで肩だって別にいいじゃない

4年目の猟期に入っても、装備品の悩みは尽きない。今期は大物を狙って山に入っているので、MSS-20に付けるライフルスリングが特に悩ましい。

最初に買った極端にシンプルなスリングに問題はなかったけれど、僕は生粋のなで肩なので、移動中にずり落ちてくるのがとても不快で不便だった。たすき掛けにして背負ってみたけれど、獲物と遭遇した時に据銃するまでの動作が大きくなるし、時間もかかる(獲物に遭遇したことはない)。

ならばと身体の前に銃がくるようにたすき掛けしてみると、なかなか具合がいい。据銃の問題は専用のスリング「3HGR Driven」を使えば解決できそう。でも、値段にひるんだ*1。僕は生粋の工夫貧乏でもあるので、少し安価な市販のツーポイントスリングに工夫を加えて、かなり近いものを作ってみた。

3HGR Drivenの使い心地がいかほどのものかわからないけれど、今回の工夫は我ながらいい塩梅で、「これで十分だ」と思えた。でも、詰めが甘かった。
調整したときは服装こそ出猟時と同じにしていたけれど、リュックを背負っていなかったし、胸部に双眼鏡もぶら下げていなかったのだ。結果、猟場で銃を担いで「あ……」となった。リュックも双眼鏡も銃と干渉しまくりで、とても動き辛い。

「3HGR Driven」を参考にしたスリング(銃床側)
2本のスリングで銃床を包むように固定している。スリングとは「カチッと留める物」で接続しているので、いざという時はカチッとスピーディーに外せる予定。

僕の(理想の)狩猟スタイルは「獲物に気づかれる前に発見して撃つ」「獲物の通り道を見極めて待ち伏せして撃つ」みたいな、スナイパー的な狩猟。「不意に獲物と遭遇したので素早く据銃して撃った」という状況は望んでいない(それはそれでかっこいいし、そういう所作に憧れもあるけれど)。ここに至って、3HGR Driven式スリングを単独忍び猟で使うのは諦めた。というか、自分の理想とする狩猟スタイルには不要なのだ。

では、どうやって銃を携行するのが快適なのか?

やっぱり肩に掛けるのがシンプルで応用が利きそう。ずり落ちそうなら引き上げればいい。でも、傾斜のきつい場所を移動する時にずり落ちるといろいろ危ないので、必要に応じて両手を使えるようにしたい。そんな時は獲物と遭遇してもなんにもできないから、両手を使いたいと思ったら銃を背負えばいいのかも。でも、背負ったり掛けたり、その都度切り替えるのは相当めんどくさいな。めんどくさいことは必要なことでもやりたくなくなるし、その横着が事故や怪我につながる! そもそもリュックを背負っているから銃を背負うのは無理や。あ、その時だけ肩からスリングが滑り落ちないようにすればええんちゃうか!?

とひらめき、我ながら素晴らしい発見をしたと興奮したけれど、頭の中で考えたものに近いものが、「Pak-Rat Quick-Clip」という名前で販売されていた。でも、日本では販売しているところはなさそうだし、そもそもこれで本当になで肩からずり落ちるスリングを保持してくれるのか、不安でもある。Amazonでも同じような目的の製品を見つけたけれど、なんやかんやの事情でべらぼうな値段になっている。いろいろ考慮しても高すぎる。わざわざスリングを押さえつけなくても、引っ掛けるだけで十分じゃあないかなと思ったら、そういうものもAmazonで「スリングキーパー」「スリングフック」として販売されている。めちゃシンプル。

でも、こんなものなら工夫貧乏の本領を発揮して、あり合わせのもので作れる。

自作のスリングキーパー
ワークマンで買った格安のリュックなので大胆に加工。ショルダーベルトに穴を開けハトメで補強し、工具箱にあった意味不明な部品をパラコードで固定している。ちなみに銃のスコープ側にスリングのループができるようにして、銃を小脇に抱えるようにぶら下げている。

通常は普段通りスリングを右肩にかける。
両手を使えるようにしたい時は、ショルダーベルトに固定した意味不明な部品にスリングを引っ掛けるだけ。これだけで肩からストンと落ちることはない(ずり落ちていきそうな感覚はある)。

これだけだと銃が左右にぐらつくので、しっかりと手を使いたい時はリュックに引っ掛けているセーフティコードをボルトノブに引っ掛ける。これであまり気を使わず両手をフリーにできる。

固定用のセーフティーコード
セーフティーコードはリュックの左にぶら下げ、お腹の前をぐるっと回してボルトに引っ掛けている。これだけで期待以上の安定感。

ここに至るまでにミステリーランチの「クイックドローライフルスリング」みたいなものも作ってみたけれど、カチッと留めるのも外すのもわりと煩わしかった。片手で、ワンアクションで望んだ状態にするには、やっぱりシンプルに引っ掛けるだけがいいみたいだ。

お金をかけずに試行錯誤して満足できるものを作れたけれど、もはや工夫貧乏というよりも、生粋の貧乏性な気がしてきた。もっと工夫が必要なのかもしれない。

「Pak-Rat Quick-Clip」紹介動画。詳細な構造がよくわからないけれど、ひっかける部分を抑えるゴム的な素材の耐久度が気になる。引っ掛かりも浅そうで不安。
「クイックドローライフルスリング」はとてもスマートに見えるけれど、実際はスマートに使えない予感がする。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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