狩猟生活の歩み
より楽しんでいくための記録

様々な物事に対するちょっとした好奇心が混ぜこぜになり、興味を持った狩猟。食べ物を自分で手に入れる喜び、おもしろさに触れて、自分の中のなにかが変わった実感があるし、いろいろな考え方や思いは今も更新され続けている。その変遷は自分にとって興味深いので、記録してみることにした。

1期目

狩猟道具:エースハンター5.5mm
移動手段:自転車、電車

猟果無し。ほんとに一人で始めたので勝手がわからず、発砲できる状況を作ることにも四苦八苦。出猟中のほとんどの時間は自転車移動に費やしていたので、とてもしんどかった。でも、自転車を漕ぎながら「自分は今、狩猟をしているんだ」と思うと、めちゃくちゃ嬉しかったし、楽しかった。猟期終盤に中古で購入したエースハンターが壊れて強制終了。罠猟師と偶然出会い、シカのもも肉(両足6kg)をいただいたのが唯一の猟果(っぽいもの)。

車なしで狩猟する場合のあれやこれや

出猟に使用している自転車
舗装された道はもちろん、その外観に相応しくないオフロードも文句を言わずに走ってくれた自転車。

2期目

狩猟道具:エースハンター5.5mm 近江屋カスタム
移動手段:自転車、電車

猟果はヘッドショットを狙ってネックショットになったカルガモと、ヘッドショットを狙って羽を破壊するも30分以上逃げ回られタモで回収してナイフで止めを刺したコガモ

前期壊れたエースハンターを北海道の近江屋さん(現在は廃業)でカスタマイズ。その甲斐あってか念願の猟果を得られた。でも、カモの胸肉は期待していたような味ではなかった。素材そのものがおいしいと思い込んでいたので、ちょっとガッカリ。でも、内臓肉、もも肉の旨味は強烈で、もっと食べたいと思った。自分で動物を殺して食べることに心配したほどの抵抗感はなかったので、狩猟を続けられると確認できたことが何よりの収穫だったかもしれない。初めて野生のシカの群れと遭遇して散弾銃で挑む大物猟がより楽しみに。
3期目に向けて冷凍庫を購入し、散弾銃MSS-20を所持、車の購入も決意。

2期目の詳細な記録集

近江屋カスタムのエースハンター
近江屋さんでカスタムしてもらった愛銃エースハンター。フリーフローティングバレル化、強化レバーに換装などなど、心底やってよかったカスタムだけど、猟果に繋げられていないのは悔やまれる。

3期目

狩猟道具:MSS-20、エースハンター5.5mm 近江屋カスタム
移動手段:車(以降同じ)

MSS-20の猟果はヒドリガモ。エースハンターの猟果は半矢で飛べなくなったと思われるカルガモ。

単独忍び猟(っぽいこと)に挑戦するも、狩猟に関する大半の知識の無さを痛感するのみ。それでも痕跡を見つけたり、足跡を追ったり、山の中の道なき道を歩いたり、あらゆることがめちゃくちゃおもしろかった。おかげで「大物猟ってどうしたらええんや……」という迷いが無くなり、コツコツ一人で試行錯誤して学んでいくことを決意。

3期目の詳細な記録集(途中で放棄)

MSS-20
いろんな人にかるーく反対されながらも、見た目とボルトアクションを諦められずに所持したMSS-20。鳥撃ち、大物猟、スキートを楽しめる今となっては、一挺目の散弾銃でも悪い選択肢ではないと断言できる。……強くおすすめはしないけれど。

4期目

狩猟道具:MSS-20、エースハンター5.5mm 近江屋カスタム

MSS-20の猟果はシカ(メス)。エースハンターの猟果はキンクロジハジロ

初めて巻狩りに参加。いろんなことを教わり、経験させてもらった。念願だった罠の見回りにも同行させてもらい、罠猟への憧れが強まる。巻狩には11回参加し、その内10回は獲物と遭遇。そして発砲できたのは4回。仕留めたのは1頭。とてもいい場所で待たせてもらったのに不甲斐ない結果だったけれど、巻狩の待ちで必要なスキルの輪郭がぼんやりとわかった。
エースハンターも発砲回数は激増。しかし当ったのは3回で、内2回は半矢で潜られ回収できなかった。鳥撃ちメインの狩猟生活から大物猟メインに移行したことでメリハリができて、鳥撃ちがより楽しくなった気がする。

巻狩り雑感

箱罠にかかったイノシシ
初めて見た野生のイノシシ。はっきり言って、檻の中にいても暴れてめちゃくちゃ怖い。

5期目

狩猟道具:MSS-20、エースハンター5.5mm 近江屋カスタム

MSS-20の猟果はシカ4頭。エースハンターの猟果はキジバト。

本格的に巻狩りに参加。そして罠猟にも参加させてもらい、止め差しや解体を何度も経験させてもらった。さらに自分で仕留めたシカを一人で解体、精肉したり、「狩猟をしよう」と思ってから「体験したい」と思ったことのほとんどを体験させてもらえた素晴らしい猟期だった。
今期は単独忍び猟よりも巻狩りに参加して狩猟や山の知識を学ぶことを最優先した。それに備えてMSS-20でスキートを練習し、その甲斐あって前期とはまったく違う気持ちで引き金を引くことができた。今思えば前期は走っている鹿をろくに狙えていなかったと思う。獲った数が増えたことよりも、急速に増えている知識を少しずつゆっくりと自分の武器にできていることがうれしい。引き続きスキート練習をして、連射にも対応したい。そして、ランニングターゲットもしっかりとやっておきたい。
巻狩りの参加回数が増えたことで鳥撃ちの回数は激減。それでも出会いは過去最高。キジバトしか獲れていないのは狙撃力不足。でもキジバトは念願の獲物のひとつだったので、とてもうれしい。ちなみにカモよりクセはなくとてもおいしかった。来期は鳥ももっとたくさん食べたい。

MSS-20でスキートを練習した集大成。記録できなかったけれど、同じような状況で同じ様にヘッドショットができたので、自信を持って撃てるようになった。

6期目

狩猟道具:MSS-20、エースハンター5.5mm 近江屋カスタム

MSS-20の猟果はシカ4頭、カルガモ1羽。エースハンターの猟果はカルガモ1羽、キンクロハジロ1羽。

エースハンターは相変わらず射撃が下手で出会いの数を全く活かせていない。初めてキジをスコープで捉えたけれど、かすりもしなかった。ポンプ回数12回は威力上昇のメリットよりも引き金の重くなるデメリットを感じるようになった。結局8回ポンプに減らし、カルガモとキンクロハジロを仕留めた。来期までに軽量のペレットを試して、6回ポンプでどうなるのか試す予定。

MSS-20は巻狩がメイン。知識と経験を増えて、益々おもしろいと感じる。今期は待ち方や状況の変化への対応など、それなりに成長していると実感することもあった。残念なことに、それを猟果に繋げられなかった。年末まではいいペースだったのに年明けから良くない外し方が続き、撃てば中るような状況でも引き金を引けなくなってしまった。幸い終了直前に良い射撃で仕留めることができて、嫌な感覚は払拭することができたけれど、反省することの方がずっと多い。

単独忍び猟ではようやく鹿と出会うことができた。今期は1回しか挑戦できなかったけれど、歩き方や歩くペース、ルートの選定など、前期までとは比較にならないぐらい上達していた(はず)。鹿が居そうな気配を感じ、待ち伏せして、数分後に雌鹿が2頭出てきた。撃とうと思えば撃てる状況だったし、中る距離だった。でも、なんだか引き金を引く気にならなかった。想像通りの展開がうれしすぎて、猟欲が満たされてしまったのかもしれない。自分一人で鹿と偶然ではない遭遇を果たしたことで、巻狩で得た知識と経験が身に付いていると実感できたのは、今期一番うれしいことだった。

「成長しているぞ!」と思ったのにただただ幸運なだけだったネックショット。調子に乗った報いか、これ以降弾が中らない日々が続いた。

7期目

狩猟道具:MSS-20、エースハンター5.5mm 近江屋カスタム

MSS-20の猟果はシカ2頭、マガモ2羽、コガモ1羽。エースハンターの猟果はヌートリア2頭。

猟果だけをみれば変わり映えしない、というか少し寂しい結果に見えるけれど、内容はとても充実してめちゃくちゃ楽しい猟期だった。

残念なのはエースハンターの猟果。初年度以来、鳥を獲れなかったのは悔しい。チャンスは何度もあったのだけど、射撃が下手すぎる。練習していないから当然の結果なんだけど、それにしても。ヌートリアは念願の獲物だったし、うれしかった。お肉もおいしい。

今年は単独忍び猟をする機会がなかったので、MSS-20は巻狩りと鳥撃ちのみ。解禁後に「ゆっくり歩く鹿への狙いすました狙撃」「疾走する鹿に反応した動的射撃」という理想的な2パターンで獲れたけれど、その後がダメダメだった。原因は待つ場所の選定。こちらに都合の良いルートで逃げてきた時にベストの場所を選びすぎて、少しずれた場所に出てきた獲物に対処できないことが多かった。来期はもう少しいい加減に場所を選ぼうと思う。

「獲る」という結果が不甲斐ないのに充実した猟期を送れた理由は、罠の設置場所の選定や見回り、そして巻狩り前に見切りの真似事をさせてもらえたことだ。
今まで足跡を見ても大した情報を得られなかったけれど、数日間連続で見回りさせてもらったことで、その足跡が新しいとか古いとか、ここはいつ頃イノシシが掘り返したとか、少しは判断できるようになった(その判断が正しいかはまだまだ怪しいけれど)。
また、いくつかの罠の設置場所を一緒に考えさせてもらい、「なぜそこがいいか」「なぜこっちには設置しないのか」など、実際的な知識を得られた。そしてその罠の近くまで獲物が来たり、直前で引き返されたりといった痕跡を見ることで、獲物との駆け引きを楽しめた。

そして、今期一番の収穫は、イノシシの腹出し〜皮剥き〜大バラシを一人でできるようになったことだ(運搬を除く)。今まで一任していた熟練の先輩猟師が引退されたので、自ら志願して解体担当になった。最初は手の抜きどころが分からず皮剥きに尋常ではない時間がかかったけれど、何回か経験してかなり短縮できた。来期はもっと手際良くできるはず。
本当はみんなでやればそれぞれ知識と技術が増えるし、なにより早く終わるんだけど、これに関しては我儘を通させてもらった。僕はお肉として食べるまでが狩猟行為だと思っているし、その全ての工程を一人でもできるようになりたいのだ。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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