僕が猟場でカモの腸抜きをしなかったわけ
あるいは猟場での心がけ

先日めでたく獲れたカルガモ。ヘッドショットを狙ったが、結果はネックショット。狙ったところに中てられなかったのは悔しいけれど、可食部に影響のない場所だったので良しとする。
この日を夢見て、獲れた時にすべきことを本やネットから詰め込んだものの、いろんなやり方があることわかって混乱するばかり。幸か不幸か大抵一人で自由に行動しているので、詰め込んだ情報から自分で納得したこと、より快適な方法を選んで試していくことにした。

猟場で見かけた古い薬莢
新しいものはまだ見たことがないが、古い薬莢はよく見かける。かつてはカモがいたという手がかりにはなるが、本来は発砲した人が持ち帰るべきだと思う。

狩猟・ジビエブームということもあり、いろんな本やサイトで鳥の解体方法を知ることができる。大抵「腸抜きはできるだけ早く」と書かれているように、獲ったらすぐ腸を抜くことは、当たり前のこととされているようだ。でも、少数ではあるが、そのことに疑問を持って腸抜きをせず持ち帰り、おいしく食べている人もいる。

2年目の猟期に入ってすぐに、有限会社豊和精機製作所さんのこのTweetを目にして驚いた。でも、言われていることは腑に落ちる。

こちらはエースハンターを使用されている凄腕スナイパーさんのTweet。お二人ともお腹に弾が中らなければそのまま持ち帰り、解体するまで羽も毟らず熟成しているようだ。お腹を開けるのは全行程の最後。おそらく血抜きもしていない。

射撃場で知り合った方からは、「シカやイノシシをおいしく食べるためには、血抜きして一刻も早く(衛生的な環境で)冷却すること」と教えていただいた。
電車と自転車で狩猟を始めるにあたり、大変参考にさせていただいたとあるブログ(残念ながら現在は閉鎖)では、おいしく食べるために試行錯誤して、「腸抜きをしたらすぐお腹に保冷剤を突っ込んで肉を冷やす」ことが重要だと結論を出していた。
おいしく食べるためには、「肉の冷却」というのは外せないらしい。「血抜き」は大型の獣でなければ不要なのかもしれない。

初めてカルガモを仕留めた時は血抜きをするか迷ったけれど、これらの情報を思い出してそのまま保冷剤を詰めたクーラーバッグに入れるだけにした。帰宅後すぐに羽を毟って解体したけれど、おいしく食べることができた。

比較対象がないので、ひょっとすると腸を抜いてお腹に保冷剤を突っ込んだ方がおいしく食べられたかもしれない。また複数獲った時に比較したいと思う。比較して味に大きな違いがなければ、これからも現場で腸抜きをせずに済む。こうして生き物を食べ物にしていく方法を選択できるのが、狩猟のメリットのひとつかもしれない。

僕の狩猟環境は恵まれているとは言えず、「ちょっと狩猟にでも行くか」という感じで出猟できないし、毎日出猟することもできない。朝から夕方までみっちり出猟することもできない。だから限られた出猟時間はできるだけ“狩る”という行為に使いたいので、羽を毟ったり腸を抜いたりするのを後回しにできるなら、それに越したことはない。

もうひとつの大きな理由は猟場でのトラブル回避。地元の方でも狩猟をするときはいろいろ気を使うと思うけれど、余所者はそれ以上に気を使わなければならない。今の所は猟場でトラブルにあったり、地元の方から注意されたことはないが、それは慎重に慎重に行動して、人の気配や発砲場所に気を使っているからだと思っている。猟師ではない人が(猟師であっても)いきなり鉄砲を持ってる人に出くわせば驚くだろうし、鳥の羽を毟ったり、お腹を開けて腸を引っ張り出していれば驚愕するだろう。場合によっては通報されてしまう。そんなことになれば次からそこには行きづらくなり、限られた猟場がなくなってしまう。

そんなわけで、僕は可能なかぎり痕跡を残さない狩猟を心がけている。最初は不便というか縛りがきついと感じたが、最近は自分の置かれた環境でどれだけ狩猟ができるか、より快適に狩猟ができるか、工夫して試行錯誤するのが楽しい。偉そうなことを書いているが獲ったのはカルガモ1羽のみ。

今回はとりあえずビニール袋に入れて保冷剤を詰め込んだクーラーバッグに入れたが、蒸れるような気がするので通気性を確保できるようにしたいし、複数獲った時にどうするかなどなど、考えることは増えるばかり。もっと経験を積むためにも猟場は大切にしたい。

わが家でつくる合鴨料理

レシピ本としても参考になるけれど、「煮る時も焼く時もフタをしない」などカモ肉をおいしく食べるための基本知識が大変ありがたい。また、レシピも家庭の料理という感じでとっつきやすいものが多い。手の込んだ料理はやる気がおきない僕のような人間にはうってつけ。

購入時の価格 ¥1,572

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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