空気銃(エアライフル)と散弾銃で初めての共猟
2018年度 2回目の出猟

『山賊ダイアリー』には自分も体験したいと思わせるエピソードがたくさんあるけれど、空気銃と散弾銃の共猟は最もやってみたかったことのひとつ。
漫画では先に空気銃のエースハンターで水上のカモを撃ち、その発砲音に驚いて飛び立ったカモを散弾銃で仕留めている。それぞれのやり方で自然に連携ができて、とても気持ち良さそう。
今期2度目の出猟は、念願叶って先輩猟師のAさんとの共猟になった。

共猟といってもAさんに狩猟のイロハを教えてもらうことが第一目的。普段一人で狩猟をしている時の行動が安全なのか確認したいし(法令遵守は当然として)、探し方や距離の詰め方など、獲物を捕るための知識も得たい。さらに機会があれば、トドメの刺し方、腸抜き、羽むしりなどなど、本やネットで学んだ知識を自分の目で見て確認したい。

古い薬莢
猟期前に下見した池で発見した散弾銃の薬莢。かなり古いので以前はカモがついていたことがわかる。(本来は持ち帰るべきものだと思うけれど)

しかし狩猟解禁日以降、猟師に追い立てられる日々が続いているせいか、どこに行ってもカモがいない。それでもカモが隠れそうな地形を教わったり、非狩猟鳥の見分け方などを教えてもらってお勉強。
ようやくマガモとカルガモの群れを発見したのは、銃禁エリアではないものの、住宅密集地域。当然撃ってはいけないし、撃たない。住宅地の近くにある池は適度に手入れされて日当たりも良く、餌も容易に手に入り、撃たれることもないので、カモにとって楽園のような場所だろう。
せっかくなので初めて見たハシビロガモをはじめ、マガモやカルガモなど、普段はすぐに逃してしまうカモの観察を楽しませてもらった。

里山
普段くることのない場所にいるだけでワクワクしながら落ち着いた気分を楽しめるのも狩猟の魅力。

ようやく銃を撃てる場所で遭遇したのは、コガモの群。水面はもちろん池の淵に固まり日向ぼっこをしていたり、かなりの数がいる。コガモに混じって2羽のカルガモが日向ぼっこをしているのを発見。こちらにはまだ気がついていないので、引き返してエースハンターを12回ポンプ。狙うは当然カルガモ。

匍匐前進で土手に上ってペレットを装填しスコープを覗く。しかし何も見えない。焦ってスコープに目を近づけ過ぎていた。調整している間にこちらに気がついて逃げるカルガモ。なんとかスコープで捉えて、引き金を引く。しかし引き金はビクともしない。無意識に「SHIT!」みたいな言葉を吐いて悪態をつきながら安全装置を解除して、狙いを定めて引き金を引いた。

パァンッ!と響く乾いた発砲音。羽が散ったように見えたけれど、カルガモは元気に飛び立つ。周囲のコガモは悠々と泳ぎながら逃げる。なぜかもう1羽のカルガモがこちらに近づいて来るので一旦退却して、再び12回ポンプ。匍匐前進で狙撃ポイントに戻ってペレットを装填。引き金を引くと、今度は頭を超えて着弾。飛び立ったカモは旋回してなぜか少し離れた場所に着水。再び撤退して12回ポンプ。匍匐前進。装填して、狙撃。元気に飛び立つカルガモ。3回もチャンスに恵まれながら、計36回のポンプと匍匐前進で腕がパンパンになっただけだった。

以降は出会いに恵まれず終了。帰路ではスコープ越しに見たカモと、その後の3度の発砲に至るまでのあれこれを何度も反芻し、悔しさを味わい続けた。

憧れのコンビ撃ちはできなかったけれど、経験豊富なAさんのお話を聞けたことはやはり何よりの収穫だった。「カモ(やキジ)は車で近づいても逃げようとしない」「非狩猟鳥はこちらに気がついていても慌てて逃げ出さない(逃げ出さない鳥は非狩猟鳥である可能性が高い)」などちょっとした習性も知ることができた。なによりいろんな話をしながら獲物を探すのは、とても楽しかった。

本やネットで情報収集し、猟友会で先輩猟師の話を聞き、自分なりのやり方で狩猟を始めた昨年。「自分のやっていることは根本的に間違えているのでは?」とずっと疑問だったけれど、Aさんのおかげで「間違ってはいない」と確信を持てるようになった。

都会に住んで、休みの日に限られた猟場に足を運んでいるだけで、ポンポン獲物に出会えたり仕留められるわけがない。「獲物は逃がしても、また獲れる」は『山賊ダイアリー』の作者が所属している猟友会の合言葉。この言葉を信じて、これからも安全に狩猟を楽しみたいと思う。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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