ボサ越し射撃は難しい
2019年度 10回目の出猟

年が明けて初めての出猟。とはいえ前回の出猟から数日しか経っていないので、状況は変わらずカモがいない。徐々に減ってきたという感じではなく、ある日を境にパタッといなくなってしまった感じ。先輩猟師と情報交換をしても同じような状況で、局所的に数が減ったのではなく全体的にカモの姿が少ないみたいだ。もちろん銃禁エリアや保護区には、たくさんのカモがいるけれど。

あまりにも獲物を見かけないので、新しい猟場を開拓。しかし少し移動したぐらいで状況は変わらない。結局いつもの猟場に戻って一通り巡回していると、ようやくコガモの群れを発見できた。しかしあっという間に気づかれ逃げられる。

「まあここは撃ちにくいしなぁ……」と自分を慰めながら飛び去るコガモを見上げる。猟期の最初には何度か旋回した後なぜか戻ってきてくれたことがあったけれど、猟師に狙われる日々になって一ヶ月以上経っているので、さすがにそんなに甘くはない。

そのままコガモ達を眺めていると、すぐに下降して見えなくなった。地図で確認するとそのうち覗いてみようと思っていた池がある。すぐさま後を追って車から池を確認すると、コガモの群れがいた。

着水するコガモ
同じ種類のカモが同じ場所にいても、群れごとに行動は違う。奥の群れはコンクリブロックでのんびりしていたけれど、着水している群れはこちらの行動に対して敏感に反応していた。

さっき追われたばかりなのでまだ警戒心は強そう。少し離れた場所に車を停めて、姿勢を低くして池に近づく。
車からは水面を簡単に確認できたけれど、背が低いとはいえボサに囲まれていてあまり近づけない。途中で何度も足を止め、時間をかけて慎重に水面を確認できる場所まで移動した。

すでに車から確認した場所にはいない。移動して隠れている。見える範囲でいちばん怪しいのは左岸にある大きな木の下。オーバーハングしていてマガモやカルガモがいることを期待するような場所だ。今いる場所からは狙えないので、移動するかもう少し待つか思案していると、3羽ほどのコガモが視界に入った。

コガモはうっかり姿を表したというよりも、こちらに気が付いて向こう側に逃げようとしているように見える。どんどん離れていくので慌ててクアッドスティックを準備。広げている時間はないと判断し、モノポッドのように地面に突き刺して、握った親指の上にエースハンターのアンダーレバーをのせ、スコープを覗いた。

クアッドスティックのおかげでいつもより視界は動いていない。落ち着いて引き金を引くと、かなりそれた位置に着弾。狙ったコガモはもちろん、自分がいる側の岸に隠れていた20羽近いコガモも飛び立った。再び飛んでいくコガモ達を眺める。今回はどこかに降りたりせず、視界から完全に消えるまで高く飛び続けていた。

一連の流れを後方から見ていた同行者によると、弾は2mほど前方のボサに当たったのではないかということだった。発砲音と同時に不自然に大きく動いたらしい。
手元のズレは、先に行くほど大きくなる。狙いはコガモを捉えていたとしても(まあそんなことはないと思うけれども)、撃ってすぐにボサに当たっていたら狙いからずれて当たり前だ。

スコープで覗いている間はボサなんて視界に入らなかった。水面に浮かぶコガモの姿しか見ていない。ボサは手前にあったのでぼやけて気がつかなかったのか……。今となっては確認できないので、そういう失敗をしたことにして、次回から気をつけることの一つに「射線の確認」を追加した。
それにしても獲物を撃つのは本当に難しい……。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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