100%の女の子 / パン屋襲撃
好感度は高いがこっぱずかしい

以前にもちょこっと書いた記憶があるのですが、実は村上作品はけっこう映像化されています。デビュー作『風の歌を聴け』は村上春樹の中学の後輩、大森一樹監督が映画化されてます。主演は小林薫。いかにもATGっぽい作品で、悪くはないんですが強くおすすめしようとは思いません。『国境の南、太陽の西』もイタリアだったかで映画化が決まったというニュースがあったはずですが、どうなってるんでしょうか。最近では『トニー滝谷』が市川準監督で映画化されました。あとは学生が卒業制作で許可をもらって撮っているのもあるらしいです。

『パン屋襲撃』には今は亡き趙万豪さんが出演されていて、期待させるのですが……ちょっときついです。『100%の女の子』にも言えるのですが、どうも演技が素人臭く感じます。演出のせいもあるのか、こっぱずかしい。ただ、これは原作もそこまでおもしろいというわけでもないので……まあ……という感じです。

『100%の女の子』は失敗していないという印象です。僕はこの原作を本当に好きなので、初めて観た時はがっかりというか「何してくれてんねん」という感情が強かったのですが、何回も観ているとこれはこれでありかな……と思えるようになりました。原作を読まずにこの映画を見ていたら、もうちょっと好意的に観られたかもしれません。

原作の世界をとても大事にしようとしたのか、ナレーションが多く、ほとんどが原文のままです。小説の文体をそのまま映画に持ち込んでも、やっぱりちょっとこっぱずかしいですね。失礼を承知でもっとも気になる点を挙げますが、室井滋さんは100%の女の子ではないと。少なくとも僕にとってはもう全然違います。いや、きれいだと思いますよ。この頃はまだ若いし。聖子ちゃんカットも似合ってなくはない。でも、100%ではないと。ここははっきりしておきましょう。意図してキャスティングしているとは思いますが、それならばもっと無個性な人の方が良かったなと。

でも、人それぞれ「100%の女の子」がいるわけで、室井滋さんが100%の女の子だと感じる人はひっくり返ってしまうかもしれませんね。

良くも悪くも映画を撮りたいという情熱のみで出来上がった感があって、応援したくなる作品です。最近どうしてるんでしょうか、山川監督は。とにかく、「映画撮ってみたいぜ」と思ってる人は、とても参考になる作品だと思います。

100%の女の子 / パン屋襲撃

『100%の女の子』のエンディングに使われている佐野元春の曲が、とてもかっこいいです。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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