ヒルは木から落ちてこない。ぼくらのヤマビル研究記
調べる力と学ぶ力で掴んだ真実

人生なんてわからない。僕は虫が猛烈に苦手なのに狩猟、渓流釣りに興味を持ち、実際に始めてしまった。どちらも相当猛烈楽しんでいるけれど、虫に慣れる気配はない。
狩猟期間は基本的に寒いので、虫の活動は狼狽するほど活発ではない。問題は春から秋にかけての渓流釣りだ。多種多様な虫が空を飛び交い、地面を蠢いている。スズメバチやアブ、ブユなど不快なだけではなく危険な虫も多い。そんな中でも“気持ち悪さ”で他を圧倒するのは、ヤマビルだ。

尺取り虫のような動きで機敏に足を登ってくるヒルを初めて目視した時は、言葉にできない大声が出た。それ以来、ヒルを発見すると毎回大声で奇声を発している。血を吸われるのはまあ我慢できる。マダニのように危険な病気を媒介することもないらしい。それでも僕は、ヤマビルが一番苦手だ。意志を感じない動きなのに着実に目的地(血を吸いやすい場所)に向かってくるし、その動きと容姿が気持ち悪すぎる。

『ヒルは木から落ちてこない。』と「ヒル下がりのジョニー」
この本を読んで「ヒル下がりのジョニー」を装備すれば、ヒルへの恐怖心はほんのちょっぴり和らぐ。

またこんなグロテスクな生き物に遭遇したら釣りどころではなくなるので、回避する方法をネットで調べた。するとヒルは木から降ってくると書いてある。渓流釣りに連れて行ってくれた知人も「そうそう、何回か降ってきた」と恐ろしいことを言う。ヒルが落ちてきて首筋を伝う様を想像するだけで卒倒しそうになる。さらにそのヒルが頭に移動し、髪の毛を洗っている時に出てきたりしたら自分がどうなってしまうかわからない。

ヒルが木から落ちてくるなら渓流釣りにはもう行けないなと絶望しかけた時、この記事を目にした。元々の(間違った)知識がなかったので、ヒルが木から落ちてこない理由はすんなりと受け入れることができた(これはとても幸運なことだったかもしれない)。そして「子どもヤマビル研究会」のブログなどを読んで、ヒルを避けるための知識を知り、釣りの合間にこまめにチェックすることで、ヒルが首まで登ってくる前に対処できるようになった。……それでも声は出るけれど。

僕はネットの情報だけで自分に必要な範囲のヒルの知識を手に入れられたけれど、こんなに役に立つ実験をしてくれた子ども達、そして指導されている方に興味が出てこの本を読んだ。読み物としておもしろく、読みやすい。子どもの声で語られる“ヒル研のよいところ”は、なんだかとても羨ましく感じた。自分がまだ子どもだったら、是非とも参加したいと思わせてくれる。子ども頃のこんな実験、活動に参加できたら、その後遭遇するいろんな問題との向き合い方が随分変わるような気がする。とはいえ、ヒル研の子ども達と同じように、ヒルを「かわいい」と思えるとは思わないけれど。

ヒルは木から落ちてこない。ぼくらのヤマビル研究記

読んでもいないのに嘘だと決めつけるレビューがあって驚いた。読めばご自身が経験したという、ヒルが木から落ちてきたという勘違いの正体を知ることができるんだけど。Kindle Unlimited読み放題の対象書籍なので会員なら無料で読める。

購入時の価格 ¥0

ヒル下がりのジョニー 詰め替え200ml

ズボンに付いたヒルに吹きかけると、ギュっと収縮してポトリと落ちた。うっかり自宅に持ち帰ってしまい弱っていたヒルに吹きかけると、しばらく悶絶して絶命した。価格がネックで購入する際は逡巡したけれど、その価値は十分あった。とはいえ少しでもお財布に優しい生活を送りたいので、100均のアルコール対応スプレーボトルに入れ替えて使用している。

購入時の価格 ¥1,540

参考サイト

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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