ぼくは猟師になった
狩猟採集を生活の一部に

狩猟免許を取得したものの、なにをどうしていいやらさっぱりわからず、困った時の本頼みで手に取ったのがこの本。以前感想を書いた『山賊ダイアリー』同様、狩猟に興味を持った多くの人が読んでいると思う。

突然知り合いが、「ぼくは猟師になった」と宣言したら「なんで?」と質問したくなるはず。千松さんは幼少の頃から抱いていた人間への違和感、そして学生時代の様々な体験から考えをまとめ、「(だから)ぼくは猟師になった」と答えている。その考え方はシンプルですんなりと理解できた。千松さんが狩猟を始めた経緯は、食べ物だけでなく仕事や社会との関わりについても考える切り口になると思うし、僕はとても共感を覚えた。

僕が「狩猟免許を取得したい」「狩猟免許を取得した」と親しい友人知人に伝えた時、ほとんどの場合「……なんで?」と質問された。
「鹿肉を食べたいと思ったから」とシンプルに答えていたけれど、本当は鹿肉を食べたいということからいろんな思い、考えが派生して、「よし、いっちょ狩猟をやってみよう」と決断した。いろんな考えの主軸には、「自分が食べるものを自分で手に入れたい」という思いがある。

『ぼくは猟師になった』とくくり罠

僕は今まで、肉や魚を食べることを「かわいそう」だとか「残酷だ」と思ったことはない。でも、「狩猟をする=自分が食べるために自分で動物を殺す」ということには、まだなにも獲っていないのに負い目みたいなものを感じる。このアンバランスな感情を無くしたいから、僕も猟師になりたいと思ったのかもしれない。

この本は『山賊ダイアリー』とは違った切り口で、狩猟の始め方や魅力を伝えている。そして、自然と近い住環境の探し方、作り方、そして狩猟採集を生活の一部にすることのおもしろさを、丁寧に伝えている。狩猟を始めたいと思っている人はもちろん、「なんで狩猟なんてするの?」と思っている人にも読んでほしい。

ぼくは猟師になった

猟師としてはもちろん、人としても魅力ある生き方、考え方をされている人の文章は、おもしろい。

参考サイト

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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