エースハンター5.5mm 近江屋カスタムの性能を把握
出会った獲物を(できるだけ)仕留めるために

昨年度は3回発砲して0回捕獲。今年度は13回発砲して1回捕獲。半矢はないので命中率は1/16。1回のみの命中も狙った箇所には中らず、距離が近かったことによるラッキーパンチ。はっきり言って、道具が悪い。
なんてことは見栄から出た大嘘で、僕の射撃の腕が悪い。そして、狙った獲物に弾を中てるために必要な情報があやふやすぎるのだ。
特に距離に関しては目測がでたらめであることははっきりしている。完璧な射撃の腕を持ち、ゼロイン調整が完璧でも、狙うべき場所がわからなければ中るはずがない。

このまま出猟して獲物と出会ってもラッキーパンチを期待するしかない状況なので、購入したレンジファインダーの動作確認を兼ね、射撃場で気になっている点を確認することにした。

シャープ純正スコープ(4x32)で覗いた50m先の世界
シャープ純正スコープ(4倍32口径)で50m先にある4.55cmの標的を狙う時の視界。12個ある標的のサイズは直径4.55cm。中央の白い部分は2.55cm。

僕のエースハンターは前猟期中に壊れたので、近江屋さんで修理、カスタマイズをしてもらっている。その際測定していただいた初速と威力は以下の通り。

ポンプ回数初速(FPS)威力(FP)
5回631.514.1
6回671.315.9
7回718.318.2
8回746.019.7
9回777.521.3
10回800.322.6
11回822.323.9
12回841.325.0
13回856.525.9

強化レバーに交換したのでポンプは12回。最初はかなりきつかったが、プリズナートレーニングの甲斐あって今は特に苦しくない。

現在の50mの着弾点を確認すると、狙点から3cmほど低い。カモが横を向いている状態で頭を狙ったら、嘴の下を通り抜ける感じだと思うので、中らなくて当然。

エースハンター5.5mm 近江屋カスタムのゼロイン調整と10m毎の着弾点
左上は調整前に50mから撃ったもの。かなり下に着弾している。その隣が50mでゼロインしたもの。

50mでゼロイン調整し、10m毎の着弾点と狙点を委託射撃で確認。50mでも狩猟には十分のまとまり。狙点を調べるとレティクルのど真ん中を使えるのは10mと50m。実際にはプラスマイナス2mぐらいは使えると思うが、これは後述する弾道計算ソフトで調べることが可能。

使用しているスコープはシャープ純正の4×32で、レティクルはシンプルなクロスヘアタイプ。中心が極細になっているので、太い線との境界を基準に、横線は距離、縦線は狙点の目安として利用できる。
50m先を見た場合、極細のレティクルの幅は25cm。40mでは20cm、30mでは15cm……と、10m毎に5cmずつ増減することがわかった。
マガモやカルガモは全長約60cm。これは首を伸ばした状態なので、泳いでいる時は嘴からお尻までを45cmと仮定すると、スコープを覗いてマガモが極細レティクルと同じ幅に収まれば、おおよそ90m離れていることになる。個体差もあるし、姿勢が変われば当然サイズも変わるのであくまで目安だが、レンジファインダーを使えない状況ならありがたい情報になると思う。

カルガモの嘴からお尻までが45cmと仮定。極細のレティクルはカルガモの半分なので、極細レティクルは22.5cm。50m:25cm=x:22.5cmで計算し、カルガモとの距離は45mであることがわかる。(写真は合成)

着弾点がもっとも離れるのは30mで、狙ったポイントから約4.3cm上に着弾。レティクルの中心から狙点がもっとも離れるのは20m。

50mでゼロインした時の狙点
50mでゼロインした時に10m〜50mの狙点はこのように変化する。実際はもっと小さいので本当に少しずれるだけで中らないことが実感できる。

こうして細かく調べると距離と狙点の大事さを実感。今までは大雑把な距離の目測と雰囲気で狙点を定めていたのだから、中るわけがない。これで着弾させたいところをピンポイントで狙えば中るわけだが、それが最も難しい。とはいえ不確定要素をある程度の範囲に絞り込むことができたので、命中率は上向くに違いない。

射撃場は50mまでしか撃てないので、それ以上の距離の着弾点や狙点は弾道計算ソフト「ChairGun Pro」を利用して計算。エースハンターでは厳しいと思うが、100mまで計算し、ついでに実測値と比較してみる。

「ChairGun Pro」で計算した10m〜100mまでの各数値
近江屋さんから頂いたデータを入力。『これから始める人のためのエアライフル猟の教科書』によれば、カモやキジなど大型の狩猟鳥を仕留めるには10.5Ft/Lbs(頭蓋骨や脊椎は2.2Ft/Lbs)必要なので、数値上このエースハンターは90m先のカモやキジを仕留めることができる。
「ChairGun Pro」で計算した10m〜100mの弾道
数値を視覚化したもの。下部の紫色の線は、バイタルゾーンを2.54cmとした場合にレティクルの中心で狙える距離。10m以内はあり得ない状況なので、レティクルの中心で狙えるのは47m〜52.7m先にいる獲物だけ。
「ChairGun Pro」で計算した10m〜100mまでの狙点
10m〜100mの狙点変化。レティクルがシャープ純正のものと違うのでそのままは使えないが、こういう変化であることがわかるだけでもありがたい。

いろんな数値があるが、猟場で正確な射撃状況はわからないのであくまでも目安。レティクル中心からのずれ(POI(cm))と、威力(Energy(Ft/Lbs))がわかれば十分。10m〜40mは実測値に近い値なので、50m以上も参考にできる。自分が経験した最長射撃距離はおそらく80m前後だと思うが、着弾点は25cmもドロップしている。狙点はおそらくレティクルが太くなる場所からさらに下になるので、そりゃ中らないなという印象。
威力的には90mでもなんとなりそうだが、いろんな条件を考慮して狙ったところに着弾させられるのは、60mぐらいが限度だと思う。やはり可能な限り獲物に近づいてから発砲するのが望ましいので、射撃の技術はもちろん、近づく技術も学んで体得するしかない。

正直、弾道計算したところでなんになるんだと思っていたが、やってみると今まで中らなかった理由はもちろん、中りやすくする状況もわかって大変ありがたい。猟期前に把握しておけば、あのマガモやカルガモやコガモも食べることができていたはず。銃の性能も十分なことがわかったので、これからレンジファインダーで距離を測り、「中れ」と祈るのではなく、「中る」と自信を持って引き金を引きたい。

エースハンター5.5mm 近江屋カスタムで標的距離50mを委託射撃で5発
知りたいことを調べ終わった後に行った50mの委託射撃。1cm程にまとまっている。ゼロイン時よりまとまっているのは、数十発撃ったあとだからかもしれない。この性能を猟場でも引き出せるようにしたい。

参考サイト

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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