Keyword "町田康" - 7 items

東京飄然|町田康

僕は町田康が大好きなのですが、村上春樹の場合と違い、新刊を無条件に即購入してしまうほどではありません。ところがここ最近は、目にしたら必ず買っています。「東京飄然」も、発売を知らずに本屋に行って「お!」って感じで手に取り表紙をめくり、あっという間にレジを目指して歩いていました。おそらくこの人は「つかみ」がとても巧いんだと思います。

旅に出たくなった。なぜか。理由などない。風邪に誘われ花に誘われ、一壺を携えて飄然と歩いてみたくなったのだ。

東京飄然

いやいや、旅に出たくなるのはわかるとして、最後の理由「一壺を携えて」ってのが「くっ」とひっかかります。ひっかかるので続きが気になり、読み進めていくと、とても本屋で立ち読みを続けることができない表情になるので、レジに向かうことになると思います。

逆水戸|町田康

短編集「権現の踊り子」に収録されている一編「逆水戸」。この短編集での中で、というよりも、今までの町田康の作品の中で、間違いなく何も考えず単純に笑える作品です。

意味がわからないタイトルですが、しばらく読むと「逆・水戸黄門」ということだと気付きます。なにをもって「逆」といってるのかというと、まあなんというかとても現実的なのです。やくざ者から借金をしてる男は、善人で人にだまされたわけではなく、ただの博奕好きですし、でてくる代官は全然悪くない普通の代官です。黄門様も虚栄心が強く、誰も気付かないとそれはそれでむかついたりしてます。つまり「逆にあり得ない」水戸黄門話、という意味ですね。

工夫の減さん|町田康

短編集「権現の踊り子」に収録されている一編「工夫の減さん」。初めてこの短編集を読んだ時、タイトルにとても魅かれたのは覚えていたのですが、内容は一切覚えていませんでした。その後読み直すこともなく、たまに「逆水戸」を読んでは笑い転げる日々でしたが、先日最初から読み直してみて「工夫の減さん」の素晴らしさにやっと気付きました。

この物語を端的に説明している文章があります。

博奕で身を滅ぼしたとか女でしくじったとかいうのは聞いたことがある。しかし工夫で身を滅ぼしたというのは聞いたことがない。

工夫の減さん - 権現の踊り子

つまり、善かれと思って工夫ばかりして、事態をより悪化させてしまうどころか、他人に迷惑をかけ続けているおっさんの物語です。こういう人、というか、状況って誰しも必ず経験してると思いますが、いかがでしょう。

矢細君のストーン|町田康

短編集「権現の踊り子」に収録されている一編「矢細君のストーン」。最初にこの短編集を読んだ時は、ラストの「逆水戸」の印象が強すぎて他の作品を覚えていなかったのですが、なかなか他の作品もおもしろいですね。一気に読み直してしまいました。

祖父から譲り受けた「さざれ石」に絶対の信頼を置く矢細君に、その欺瞞性を説く主人公。矢細君も「さざれ石」の効能を次々あげるも、ことごとく主人公に論破される。ところが、ふとしたことで主人公は「さざれ石」の正体に気がつく。その時、矢細君はテレビのボクシング中継に夢中で自分の応援するボクサーに「さざれ石」パワーをテレビ越しに送りつづけていた…

猫にかまけて|町田康

昨日ちょっと空き時間が出来たので、ふらっと本屋さんに入ったら、町田康の新作「猫にかまけて」を発見してしまいました。

僕はこのサイトでずっと「電車やドトールで読んではいけない本」の筆頭に、町田康の作品を上げていました。なぜなら顔がにやつくから。しかも昨日は約束していた人が、ちょっと遅れるというので、まさにドトールで読む本を探しに本屋さんに入ったのです。ちょっと立ち読みしたんですが、さっそく顔がにやつきます。やっぱりやばいなぁ、と思ったんですが、僕は町田康好き。かつ、猫好きなので、この本から逃げる術がありませんでした。

タイトルどおり、町田康が一緒に住んでる猫達にかまけている生活をつづったエッセイです。町田康好き、かつ、猫好きな人は必読です。町田康に興味がなくても、猫好き、あるいは猫に興味がある、という人も必読です。

壊色|町田康

とても親切なお方から「壊色」を頂きました。しかも1993年出版の初版です。と思ったら文庫判より内容が少ないのですね。でも、豪華だからいいです。負け惜しみではなく。えと、言うまでも無いですが、町田町蔵=町田康です。

きれぎれ」でなにかの賞を受賞して広く有名になる前の本です。「第1章 天丼ゆうてる」「第2章 うどん玉・バカンス・うどん」は短編小説っぽいです。「第3章 また時間どおりに来やがらぬ」はエッセイと言うか、日記? 町田康公式ページの日記に近いです。「第4章 「唱歌注解」全アジアの女性たちよ」は有名というか、「あめふり」「うさぎのだんす」などの歌詞を勝手に読み替え、ちょっとしたお話を創作しています。

パンク侍、切られて候|町田康

著者初の長編時代小説。短編集「権現の踊り子」でも「逆水戸」という現実的な水戸黄門話を書いていますが、今度のは時代設定が江戸時代なだけ。どんな話か、というのを説明するのは非常に難しいです。

江戸時代、フリーランスの超人的刺客、掛十之進を中心に、この世は巨大な条虫の胎内にあると信じている宗教団体「腹ふり党」、何でも爆裂させるエスパー、凶暴な猿軍団が死闘を繰り広げるって話なんですが、って書いてても意味がわかんないです。“牢人は抜く手も見せずに太刀を振りかざすと、ずば。”この一文が気に入った人は必ず気に入る作品です。この鬼才はまたもや新たな傑作を生み出したということでしょう。

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