Keyword "午前十時の映画祭" - 5 items

シザーハンズ|ティム・バートン

高校生の時に、アルバイト先でちょっと変わった女の子と知り合いました。いろんな物事の好みも合う事が多く、そうでない場合は「なんで好きなん?」という疑問が生まれ、その子の意見を聞きたくなりました。まあ一言で言えば、馬が合った訳ですね。

ある日僕が好きな映画の話をしていて、その子に何が好きか尋ねた所、返ってきた答えが「シザーハンズ」でした。

当時の僕も映画が好きでしたが、今とは楽しみ方が全然全く違いました。頭でっかちでした。
僕はこの物語を、おそらくはどこかで目にしたジャケットだけで、“色白の悪魔的な存在がはさみで人を殺しまくるB級ホラー映画”と思い込み、僕の見るべき映画リストから除外していたのでした。

ということで、「それってB級映画やん」と鼻で笑った所、一瞬激怒したような表情を浮かべた彼女でしたが、僕より大人でした。「あぁ、そういう人間か」と一瞬で判断され、この物語の素晴らしさを僕に伝えようとはしませんでした(笑)。

それから数年後、レンタルビデオ屋と映画館でアルバイトを掛け持ちし、映画への偏愛を深めていった僕は、この物語への誤解を解き、“軽いラブコメ要素を含んだちょっと不思議な物語”であろう…と、あたりをつけていたのですが、それも全然ちゃいましたね(笑)。
この物語は、僕の偏った思考回路から生み出された想像なんて及びもつかない、素晴らしいおとぎ話でした。

道|フェデリコ・フェリーニ

粗野で乱暴な旅芸人ザンパノ(アンソニー・クイン)と、頭は弱いけれど純粋な心を持つジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)の物語。Wikipediaにはストーリーの概略がありますが、淀川長治さんの解説の方が細部をぼかして書いているので未見の方におすすめです。ただ、テキストが淀川さん口調なので(笑)、若い人には読みにくいかもしれません。

ハスラー|ロバート・ロッセン

ビリヤード映画といえば「ハスラー2」の方が広く知られていると思いますが、個人的にはその前日譚である「ハスラー」が大好きです。初めて見たときは9ボール、8ボールのルールしか知らなかったので、ストレートプール(14.1)のルールに「?」となりましたが、そのゲームのシンプルさ(1球1点)、かっこよさ(全てコールショット)、おもしろさ(セーフティ合戦)に興奮しました。そして、軽佻浮薄なトム・クルーズよりも、ポール・ニューマンとジャッキー・グリーソンの渋さにしびれ、物語の重さの違いに驚きました。

お熱いのがお好き|ビリー・ワイルダー

何度も何度も観た作品ですが、数年ぶりに、そして初めて劇場で観ることができました。マリリン・モンローのかわいさや、ジャック・レモンの軽妙な話芸など、観ていてひたすら楽しい作品ですが、今回初めて楽しめた要素に「音楽」がありました。

アパートの鍵貸します|ビリー・ワイルダー

アパートの鍵貸します」ぐらいの名作になると、映画を好きになったらいつか必ず見ることになる作品ですが、僕はこの作品をとある“国際ジャーナリスト”の著作で知りました。学生時代に尊敬していた友人の影響でその方のお話にどっぷり浸り、「豚は死ね!」と思って生きておりました。思い出すたび自分の厚顔無恥っぷりに赤面しつつ笑ってしまいますが、当時は大まじめでしたね。その反動か今では「豚だっていいじゃない。人間だもの」という感じでいいかげんに生きています。

その著作の中でこの物語がお薦めされていた訳ですが、初めて見たときの感想は「確かにいいけど…絶賛する程か?シャーリー・マクレーンは可愛いけど」ってな感じでした。なにしろ「豚は死ね」と思っている人間ですからジャック・レモンの様な生き方がまず理解できないし、認めたくないのです。「ちゃんと自分の仕事をしろ!そんな生き方で…シャーリ・マクレーンと……ずるいぞ!」と思いますよね。でも、どこかでジャック・レモンの生き方にも魅力を感じていた気がします。

そんな訳で好きな作品ではありましたが、その大部分はビリー・ワイルダーの演出や脚本の軽妙な雰囲気に対する感嘆の念であり、物語に深い思い入れはありませんでした。先日「午前十時の映画祭」のおかげで初めて劇場で見ることができたのですが、やはり大きなスクリーンで見ると気持ちが入り込みやすいのか、この物語をほんとに好きになりました。

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