2013-05-07 Tue

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Heartfield - What’s wrong about feeling good?

アンダーグラウンド|エミール・クストリッツァ

アンダーグランドのチラシ

エミール・クストリッツァ監督の作品、「黒猫・白猫」はとても不思議な映画でした。不覚にも開始早々うつらうつらしてしまったので事の始まりがわからなかったのですが、とにかくおもしろい。今だって内容はほとんど思い出せないのですが、至福の時間を過ごした、という感覚ははっきりと思い出せます。
この「アンダーグラウンド」は3時間近い作品ですが、冒頭からハイテンションで、眠気なんて感じる事なくずっと物語を楽しむ事ができました。

物語はナチスの侵攻を受けるユーゴスラビアで始まり、その後の冷戦、そしてユーゴスラビア紛争の三章で構成されています。
一章は監督独特の笑いが随所にちりばめられ、登場人物たちが置かれている状況の悲惨さとのギャップがすごかったです。二章はタイトルが「冷戦」ということもあり、悲惨な戦闘行為こそありませんが状況はまだまだ過酷、そしてシュールになっています。終盤にはいると状況は激変。でも、悲惨さはその度合いを増し、笑えそうなシーンであっても笑えなくなっています。

このように、とにかく終始悲惨な物語です。でも、物語の構成と音楽のおかげで、見ている間はそんなにその悲惨さを感じずに済みます。とにかく楽しくて、ずっとワクワク感を持ったまま物語に没頭していました。そしてなにより力強く感じ続けたのは「今自分は凄い物語を見ているんだ」という感覚でした。
こうして改めて自分の感じたことを文章に起こしていると、現実的な事や非現実的な事、歴史的な事実と作り話などを混ぜこぜにして物語を作り上げ、笑いと感動とカタルシスを感じさせ、そして世界に向けてとてもシンプルで大切なメッセージを伝えるなんて、改めて畏怖の念を覚えます。

アンダーグラウンド (映画) - Wikipedia」によると、作品が作られた背景から、公開後にさまざまな解釈を生み、批判も少なくなかったそうです。その批判の多くは監督にとってかなりきつく、また意図したこととは的外れだったようで、引退宣言を出す原因になっています。

史実を元にした物語を描く場合、当事者やその近くに居る人々から批判が出るのは避けられないと思いますが、僕はユーゴスラビア人ではないし、その歴史にも明るくないので純粋に、客観的に物語を観ていました。そして楽しむ事ができました。僕のような立場からすると、この物語はユーゴスラビアで起きた問題へのメッセージではなく、世界中の大きかったり小さかったりする争いの数々に対する、一つの解決方法を提示している様に思えました。

「許そう。だが忘れないぞ」

これはある登場人物の台詞です。そして、いろんな国や人がそう発言し、実行してきたことです。世界には解決が非常に困難な問題が山積されていますが、これらの問題の解決方法の根本は、この「許そう。だが忘れないぞ」という姿勢からしか見つけられないし、実現できないのではないかと思います。

言葉にするのは簡単ですが、実行するのは相当猛烈に困難なことです。でも、そもそもの問題が相当猛烈ややこしいのですから、その解決方法も相当猛烈困難で当然だとも思います。だからこそ、この考えを実行して解決できたときに、この物語と同じような素晴らしい宴とカタルシスを得ることができるのではないかと思います。

ってな感じで、珍しく僕を大真面目にさせてくれた、とても楽しい、美しい、素晴らしい物語です。

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