2006-05-02 Tue

村上春樹のグレート・ギャツビー

村上朝日堂をチェックするのが日課となって数日経ちますが、ボストンから相当猛烈嬉しいお便りが届いていますよ。

今スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』と、レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』の翻訳をやっているところです。

ボストン便り

ついに出るんですね。春樹訳の「グレート・ギャツビー」が。村上春樹の小説を好きな人はかなりの確率で読んでいると思われる「グレート・ギャツビー」ですが、もちろん僕も読みました。初めて読んだ時はなにがそんなに春樹さんの心を捉えたのか、ちょっとわかりませんでしたが、2回目にはぼんやりと何かが伝わってきました。3回目にしてはっきりと「おもしろい」と感じましたが、それでもやはり、何か芯の部分を捉えきれていない感覚がありますね。その理由の大半は僕の読解力不足なのは間違いないですが、翻訳の調子に合わなかった、というのも小さくない理由だと思います。それを確認すべく洋書も手に入れたのですが、よく考えると英語力がなかったのでまったく読めませんでした。

そんな僕でもこの作品の冒頭の文章は、ほんとうに素晴らしいと思います。「人を批判したくなったとき」にはいつも冒頭の言葉を思い出したいのですが、実際にそういう風に生きていくのは、相当猛烈難しいですね。優しさとも思いやりとも違う、多分、心の余裕というか余白というか…とにかく、そういうものは無くしたくないなと思います。

まあとにかく村上春樹の翻訳なら、いまよりもっと深く染み渡るのではあるまいか、と希望的観測を持ちながら、年末を待つことにします。

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2006-05-02 Tue / Category - Column

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