世界のすべての七月
20代の読者としての感想

ティム・オブライエンといえばベトナム戦争物ですが、この作品も例に漏れずベトナム物です。そして群像劇。1969年度の卒業生たちが3回目の同窓会を開く2000年と、卒業した年である1969の、2つの時代が交錯しながら進行する物語です。

登場人物が多いので、何度も「ジャンってだれ?」「スプークって女? 男?」ってな感じに混乱しましたが、やっぱり読ませますね。翻訳している村上春樹さんの作品だと流れに身を任せて読んでいけるのですが、ティム・オブライエンは激流のように強引に押し流すというか、なんせ力ずくです。それに慣れるともう止まりません。

『世界のすべての七月』

僕はベトナム戦争を知らない世代ですが、ティム・オブライエンの作品を読むと、当時の病んだ空気感をひしひしと感じます。そして、ベトナム戦争を通して物語を構築し、普遍的な何かを伝えようとしていることも。

相当猛烈、おすすめです。

世界のすべての七月

訳者の後書きにあった「20代の読者としての感想」は、「歳をとってもしんどいことはしんどいんだな」といったところでしょうか。ハッピー・エンディングをあきらめてる人ってのは、僕らの世代に多そうな気がしますね……。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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