5×2 ふたりの5つの分かれ路|フランソワ・オゾン

5×2 ふたりの5つの分かれ路|フランソワ・オゾン

Author : pushman|Movie|2005-10-15 Sat 12:52

ちょっと前なんですが、オゾンの新作「5×2 ふたりの5つの分かれ路」を見てきました。物語自体はまあ現実にもよくある話だと思うのですが、現在から過去へとさかのぼっていく構成に魅かれました。が、公式サイト見ると、それには元ネタがあるそうです。僕はその元ネタ「TWO FRIENDS」の事はまったく知らないのですが、一部では「二番煎じ」なんて言われてますね。「オゾン」なのでインスパイヤ*1されたのだと思いますが(笑)。

まあとにかく、そんなこと知らなかった僕は、すんなりと物語に入っていくことができました。これは本当にインスパイアされて作られた、独自の物語だと思います。

僕はフランス映画ってあまり合わなくて、すぐ眠たくなってしまいます。フランスのコメディは好きですけどね。「奇人たちの晩餐会」とか大好きです。あと、ルイ・マル監督は大好きです。特に「死刑台のエレベーター」と「地下鉄のザジ」は大好きです。そのルイ・マル以来初めて好きになったのが、このフランソワ・オゾンです。

初めて見たのは「海を見る」だったのですが、その中の「サマードレス」という短編で好きになり、「焼け石に水」でその思いは決定的なものになりました。かっこよすぎる(笑)。まあこの感想はまた別に機会にするとして、今回の作品は僕の好きな「唐突にダンス」がなく、「まぼろし」系の作品*2のようです。

冒頭にも書きましたが、物語自体はとても分かりやすいです。二人の男女が出会って、恋をして、いろいろあって、最後に結ばれる。これって多くの恋愛映画で幾度となく描かれたことです。もちろん「流れ」のお話ですよ。これって普通に生きてれば多くの人が経験することですし、いくら語っても語り尽くせないものですよね。そこでされる会話や葛藤に僕らは共感したり、反発したりするわけです。で、最後はハッピーエンド、なわけですが、本当に重要なのはこの先です。結ばれた二人が、どうやってこれから共に生きていくのか。多くの映画はそこんところは割愛してますよね。名作「卒業」しかり。この物語のラストの二人の複雑な表情に、何かを感じ取った人も多いことでしょう。しかしこの映画では、その後の嫌な、もっとも面倒くさい場面から始まり、お互いがお互いを疎んじるようになったり、小さな裏切りをするところを淡々と描きます。はっきりいって、熱々カップルで見に行く様な映画ではありません(笑)。

僕はこの映画で、特に感動したりしたわけではないのですが、それでもやっぱりいろんなことを考えさせられました。主人公の二人は時として不可解な行動に走るわけですが、僕らだって振り返ってみれば常日頃不可解な行動をして他人を傷つけてる事も多いわけで、しかも多少なりともそう行動することによる結果をわかってやっちゃうことがあります。ありませんか? 僕はあります(笑)。いや、笑ってる場合じゃないな。とにかく、ある瞬間を心地よく過ごすためだったり、必ず遭遇しなければならない苦痛なんかを先送りするために、周囲の人にまで苦痛を与えたりね。

はぁ…

とまあこんな具合に、人をへこませる映画ですが、ラストは素晴らしいです。「エピソードごとに異なる様式の映画にしたかった」と監督は発言されてますが、そう言われれば確かに雰囲気は違ってましたね。特にラストは幸福なエピソードということもありますが、とても開放的な雰囲気で、なぜだか希望に満ちあふれているわけです。もちろん登場人物はその行く先を知らないからなんですけど。そして、ほんとにラスト、海辺で二人が語らい、海に入っていくシーンへの展開は素晴らしいです。使い古された手法かもしれませんが「ニヤリ」とするのは間違いないですよ。しかし切ないラスト…かなり余韻を残しますよ。それは心地いい感動なんかじゃありませんが、なくしてはいけない感情だと思います。

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  • *1説明するまでもないですが、某大手レコード会社から発売されてるCDは、数多くインスパイヤされてつくられてますよね(笑)。
  • *2見てないのでわかりませんけどね。

Tag(s): フランソワ・オゾン

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Comments

Posted by いづみ|2006-08-10 Thu 16:10

そうですね。最後の余韻、まったくその通りだと思います。見ないふりをしていても、目の当たりにする現実の・の余韻・です。そのときは、春の香りが少しだけ残る夕方5時頃でしたが、映画館を出た後もしばらく、少々の悪寒を感じたままでした。私が女だからでしょうかね。

Posted by pushman|2006-08-10 Thu 23:44

いづみさん、コメントありがとうございます。

随分前に見たので詳細は忘れてしまいましたが、出だしの息苦しさと最後の幸福感、解放感ははっきりと憶えています。できることなら、幸福感を抱いていろいろなものを終らせていきたいものです。

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