2004-05-31 Mon

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド|村上春樹

はっきりいって、僕は村上春樹が大好きなんですが、また読んでしまいました、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」。休日に家でゆっくり村上春樹を読むのが、ささやかな幸せであったりします。

もう何度となく読み返している作品ですが、今まで読んでいたものとはちょっと違います。実は、いま村上春樹全作品をこつこつと集めていて、「風の歌を聴け」から全作品シリーズで読み返しているのです。それでやっと4冊目まで到達。もちろん内容に変わりはない*1のですが、全作品シリーズの最大の特徴は、村上春樹本人が作品を解説していることです。普段あまり自作については語らない村上春樹ですが、作品を作っていった背景や、当時の心境などを(いつもながら)丁寧に書いてくれてます。もうほとんどこれだけで 4,000円近い価値はあると思います。もちろん、一部の人にとってはということですが。

かなり長い物語ですが、この作品は文字通りページをめくるたびに加速度的に引き込まれていきます。すっごいスロースターターですけれど。「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」という二つの物語が交互に展開されていくわけですが、「世界の終わり」の方が腰が重くて、「ハードボイルド〜」が引っ張っていくような展開で物語は進んでいきます。でもそれも3分の1まで。それ以降は互いにすごい勢いで読者を引っ張っていくようになります。そのあまりの勢いに、初めて読んだとき降りる予定の駅を2つもいきすぎてしまったほどです。ただ不注意なだけという話もありますが(笑)。そういえばこないだ読んだ「パンク侍、斬られて候」でもやってしまいました(笑)。

村上春樹の作品の主人公は「責任」という物にすごくこだわりを持っているように感じます。特に「世界の終わり」の「僕」はその責任を文字通り一人で背負う決心をします。傍から見れば滑稽に見えることもありますが、男は“ばかばかしいくらいにいつも責任をとりたがる小さな生き物”なわけですね、やはり。

初めて読んだとき相当楽しんだものの、衝撃を受けたというほどではなかったです。若かったんですね(笑)。時事はこの物語、読み返すたびに衝撃を受けます。書き手である村上春樹も当時のレベルからすれば、バーが一段半高かったといってますが、どうやら読み手にとってもそんな作品のようです。やっぱ歳とったのかな?

ところで村上作品に登場する女の子たちは相当魅力的な子が多く、しかも主人公は(傍から見れば)簡単にその子と寝ることになったりして、そこが一部の人々から非難されているところではあるんでしょうが、やっぱいいですよね、そういうの。ええそうです、男の馬鹿な願望です。でもそれだけでは決してないはず、だと思うのですが…

この作品にもピンクの女の子と、図書館の女の子(「世界の〜」と「ハード〜」両方出てくる)が出てきますが、「ハード〜」の方に出てくる胃拡張の女の子(というか女性ですね)とのシーンはとてもとても素敵です。食欲不振の方にもこの小説、というか村上春樹作品はお薦めです。なんてことない料理でも、相当おいしそうに仕上げて、食べています。あーサンドイッチが食べたい。そうそう、この話に出てくる3,000円近い「爪切り」も魅力的です。どんな形状かまったくわかりませんが、とても素敵な爪切りだと確信出来ます。

ネタバレになるのであまり詳しく書きませんが、多くの小説のわき役達の事を考えると、すごく気が滅入るときがあります。特にこの胃拡張の女の子の事を考えると、とてもとても切なくなります。それからどのように仕事をして、生きていっているんだろうと。でも女の人の方が猛烈に強いですからね。うまくやってるんでしょう。でもそれにしても、こんなに切ないことってそうはないと思います。

力のある物語というのは、そこに出てくる全ての人物をきちんと描けているからなんでしょうね、こういうこと考えると。リアルな人生と同じです。ちょっと想像力を働かせて、いろんな人、物語を見る。そうやって本当にしっかりと見ることが出来れば、自分の心の深部にも近づいていく事が出来るのかなと。「ハードボイルド〜」の「私」がどんどん地下に降りていく時のように、そこには想像も出来ない恐ろしい、おぞましい、不快なことが、本当にたくさんあるんでしょうけれど…

村上春樹全作品 1979~1989〈4〉 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

村上春樹全作品 1979~1989〈4〉 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

村上 春樹

¥ 3,990 (定価)
¥ 3,990 (Amazon価格)
なし (Amazonポイント)

 (Amazonおすすめ度)

在庫あり。(価格・在庫状況は2月11日 9:28現在)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 新装版 (新潮文庫 む 5-4)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 新装版 (新潮文庫 む 5-4)

村上 春樹

¥ 700 (定価)
¥ 700 (Amazon価格)
なし (Amazonポイント)

 (Amazonおすすめ度)

在庫あり。(価格・在庫状況は2月11日 9:28現在)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻 新装版 (新潮文庫 む 5-5)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻 新装版 (新潮文庫 む 5-5)

村上 春樹

¥ 620 (定価)
¥ 620 (Amazon価格)
なし (Amazonポイント)

 (Amazonおすすめ度)

在庫あり。(価格・在庫状況は2月11日 9:28現在)

  1. *1 - 多少加筆訂正しているそうですが、普通に読んでいてもわかりません。

Keyword:

2004-05-31 Mon / Author - pushman / Book / Comment - 2 / TrackBack - 0

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド|村上春樹」へのトラックバック

TrackBack URL:

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド|村上春樹」へのコメント

jun wrote...

投稿者別表示、うまくいってよかったですね。ところで、私も村上春樹さんの作品が大好きです。特にこの「世とハ」は発売直後にハードカバーで購入したこともあり、思い出深い作品です。いろいろ書きたいことはありますが、長くなりそうなのでやめておきます(笑)

2004-08-20 Fri 12:32

pushman wrote...

junさん
ほんとありがとうございます。あまりの嬉しさにいろんな記事からリンク貼ってしまってますがお許し下さい。

いろいろ書きたいことはありますが、長くなりそうなのでやめておきます(笑)

あー、もうほんとにその通りです。僕はいろんな感想をだらだら長い文章で書いてしまってますが、それでも足りません。特に村上春樹さんの作品に関しては、本気で書こうとするとここのサーバー(500MB)では足りませんね(笑)。

2004-08-20 Fri 13:47





このページの先頭に戻る